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ミヤザーナツのブログ

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2011年 12月 25日

イタい昔女王ばはし「ヤング≒アダルト」

主人公メイビス・ゲイリー(シャーリーズ・セロン)のだらしなさがもう
冒頭から素晴らしくてちょっと目を背けたいくらいです....
(しかし素材が良いので男性陣は嬉しそうだ)
いたいた、こういう学生デビューの人!
しかし悲しいかな、現実のオトナ社会生活では必ずしもうまく生きられない
「自分にとって良い時間」で止まってしまった
過去の栄光から逃れられない人たち.....
こういうのってどこの国の人もおなじなんだなあ、としみじみしました。

しかし徹頭徹尾、キツい彼女を描きつつも、嫌悪感よりもむしろ
ある種の愛情を感じずにいられないのは
シャーリーズの魅力でしょうね。どこか愛らしく、にくめない。
(けど友達にはなりたくない)

わたし的にグットきたのは音楽を始めとするサブカルの使い方。
だいすきなTeenage Fanclubの引用。
(ちなみにこのバンドのルックスも、驚くほど変化しましたが)
メイビスのかつての同級生でオタク的生活を送る
マット・フリーハウフのTシャツがピクシーズだったり
メイビスのもと恋人の奥さんの趣味がママさんバンドだったりと
青春時代の残骸(あえて思い出ではなく「残骸」とします)が
主人公がパッとしないヤングアダルト小説家なのとあいまって
うまいなあ、と感じました。
もちろん小物使いも目を見張るすばらしさ!
モノを選ぶその視点がその人そのものの価値観であることを
うまく表現しています。
ものすごく真剣にまじめにそれを選んでいるのにどっか、ヘン。

そしてラスト!
どんな物語でも終わり方はむずかしいけど
そこに作り手のすべてが凝縮されていると感じます。
ビターですが、したたかでとっても良い終わり方だと思った。

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ヤング≒アダルト
2012年2月25日よりTOHOシネマズシャンテほか全国にて公開
2011,アメリカ,パラマウント ピクチャーズ ジャパン
© 2011 Paramount Pictures and Mercury Productions, LLC. All Rights Reserved.
cine cafe net


百楽出版/株式会社ファンケル 百楽(HYAKURAKU)誌上で
映画評論家の稲田隆紀さんエッセイ『キネマ食堂』にて
紙版画でのイラストを担当しており、毎月最低一本は試写で観ていますが
先日、編集者さんに個人的感想などもご紹介してかまいませんよと
伺ったので、さっそくこれからはちょこちょこかきますね。

明日は『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』を観ます。

by natsu_miyazawa | 2011-12-25 13:27 | 映画


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