人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ミヤザーナツのブログ

natsum.exblog.jp
ブログトップ
2013年 05月 07日

最後の銅版画(今のところ)

最後の銅版画(今のところ)_e0026053_1027678.jpg

最後の銅版画(今のところ)_e0026053_1134912.jpg

最後の銅版画(今のところ)_e0026053_115879.jpg

銅版画3部作、GW中に完成しました!

この技法は凹版画という版画で、低い溝にインクを詰め
プレス機という機械を使わないと刷れません。
溝をつくるためには薬品が必要だったり
尖ったもので版を引っ掻いたりいろんなやり方があります。
私が銅版画をはじめたのは91年。イラストレーターになった年です。
もうかれこれ二十年以上にもなり、楽しい趣味は
自宅にプレス機も構え、仕事としても受注しています。
ただし同じ技法でも、扱いやすい紙版を自分のフィールドにしているので
(このブログのヘッダーがそうです)
銅版を使ってのオーソドックスな「エッチング」のみでの描画は...数年振りでした。
細かい線と線のつらなり。面ではなく線。
私の絵の重要な要素です。


銅版画用の銅板は通常、日本では厚くても1ミリくらいで
使いやすいのは0.8ミリです。けれどこの版はアメリカ製で2ミリもあり
当時の純度の高い材質の為、切断するのに断裁機では無理で
腐食や手作業でなんとかカットし、描画し完成させました。

2ミリの銅版は、お世話になった方の遺品です。
ハイスペックなかっこいいアメリカ製の巨大なプレス機は
私に使ってほしいというありがたいお言葉を辞退して
より必要な大型の作品を制作する銅版画家の友人の手に渡り
その機械を導入する為のアトリエも準備すると聞いています。
大量にいただいた紙はまだありますが
しばらくいただいたままになっていた版は
ようやく作品として使わせていただきました。

ここ最近、今まで自分が取り組んできたことにたいして
洗い出しをずっとしているのですが、
版画の、最初にやった技法にもう一度トライするのは
思い出やあまい気持ちでは取り組めない「やりにくさ」を感じ
線を引くのにも一苦労でした。まったくもって思うようにいかない!
けれど、それが魅力だよなあと。

銅版はこれでひとまずおしまい。
またいつもの紙版に戻りますが、
私にとって版画の何がこんなに魅力的なのかを
十分堪能することができました。

私の作品を「おもしろい」と言ってくださった
懐かしいあの方に、みていただけたかな。

by natsu_miyazawa | 2013-05-07 11:01 |


<< Aesop'sFabl...      戸隠、最高でしたー >>