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ミヤザーナツのブログ

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2013年 06月 12日

ちょっとだけ、自分をふりかえってみる

絵を描くことは、ずっと好きでした。

うまいとかうまくないとかじゃなくて
描くことそのものがおもしろい遊びだった。
もしそのとき、まわりの人よりも
「うまかった」という印象があるとしたら
何度も何度も描いていたからだと思う。

新聞折り込みのチラシの裏に、カレンダーの裏に
飽きもせず毎日まいにち何かしら描いていて
いとこのお姉ちゃんに描いてもらった絵を見本にしたり
当時は漫画が大好きだったので、よく描いていました。
障子紙はちょっとうすいので、それを漫画の絵に重ねて
うつして描いたり。楽しかったなあー
いとこや友達とにぎやかに遊ぶのも好きでしたが
それより前、もっと幼い頃はむしろ
ひとりで過ごすことが多かったのです。
両親はずっと仕事が忙しかったので、ごく小さな頃から
よその家にひんぱんに預けられていたのですが
そのささやかな孤独感が、今の私の大きな財産です。
いとこのお姉ちゃんたちの部屋にある
怪しくて魅力的な、不思議な絵
(今思うとそれは金子國義さんや、宇野亜喜良さん)の本や
やなせたかしさん編集の「詩とメルヘン」、
萩尾望都さんの「11人いる!」は、雑誌掲載時のものを読み
いちばん最初に買った単行本は「ポーの一族」の2巻。
ぜんぜん、わからなかったけどとにかく絵がきれいだなと。
三原順さんにハマったのは小学生低学年から。
お姉さんがいるちょっとマセた友達はベルばらに詳しくて
子供に甘い父は私に全巻を一気に大人買いしてくれました。
私の青春時代と漫画の黄金期はぴたりと一致し
すごかった!と思います。

最初は漫画家になりたくて、ひそかにデビューをねらっていましたが(笑)
勇気のない私は投稿出来ず、趣味的につくった個人誌がきっかけで
ラッキーなことに十代の頃、出版社からお声がかかり
挿絵的なものと16ページ、やらせていただきました。
私の漫画家仕事はその2つだけ。
当時は自分自身と作品があまりにも近くて
また繊細(笑)だったので、売り込みをすることに耐えられず
早々にあきらめ、漫画から遠ざかっていきました。

そのころ二万五千円の風呂無し共同トイレのアパートで
よく読んでいたのが翻訳小説やミステリー、村上春樹です。
パスタとコーヒーで気分を出しつつ、ぼろぼろな環境や
自分の中途半端さから目を背けていました。

とりあえず東京にいるためにデザイン事務所の仕事をみつけ
ハードさに身体をこわしつつ、なんとか自分が生きる道をさがしました。
バブル終焉間近で、ちっとも恩恵にはあずかりませんでしたが
今思うと仕事のチャンスはいっぱいあり「とりあえず」と
はじめた出来高制の仕事のおかげで
やっとお風呂のついた部屋に移ることが出来ました。

あとはまあ、プロフィールにかいているような流れなのですが....

無意識に、自分の絵にある種の「お話」をこめていることを指摘され、
意識し改めて考えてみると
私にとって絵は表面的な二次元の世界ではなく、
何か別の世界の入り口なんだと
お話を内包する世界そのものなんだと感じます。
みんな別の世界に、いきいきと生きている。

そして、もやもやと既に存在している「別の世界」を
現実世界に出す作業をずっとしているのですが.....
たしかにしんどいところもあるけど、もともとこれをしたいがために
絵をおもしろく感じ、描いていたと思うので
そこに向かえること、そのものがおおきな喜びです。
しかも一度、漫画をあきらめているので
今度こそ絶対。

おもしろいのは没頭して作業をしていると
昔々に出会った私の中の登場人物(人とは限らない)が
ぱっとあらわれてくるところ。
懐かしさと愛おしさでいっぱいになります。
たぶん彼らは、当時の私、今の私の一部分でもあるから。


ごく小さな頃からやりたいことが変わらず
「すき、楽しい」が私の中からなくならない限り
うまくいこうがいくまいが
ーいいや、もう大丈夫!できる、と確信していますー
続けていくな、と
この年齢になった今、この瞬間に心から思います。
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by natsu_miyazawa | 2013-06-12 12:30 |


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