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2014年 11月 29日

個展作品より「ニヴフ族のくま神話」

個展作品より「ニヴフ族のくま神話」_e0026053_17141657.jpg

崖の下に巣穴をみつけた漁師は 仲間にたのんでおろしてもらうと、
そこにはりっぱな熊が暮らしていた。漁師は熊と一冬過ごすことになる....
サハリンのニヴフ族の熊神話は、アマゾン川流域では
構造のみ生かしべつの神話として成立しています。

参考文献:「熊から王へ」 カイエ・ソバージュ(2)
(講談社選書メチエ) 中沢新一




このお話をざっとご紹介します。

ある村で一人の男が狩りに出かけて、熊の足跡を見つけた。
人を集めてその後を追うと、熊はどうやら、
海に面した断崖絶壁の崖に巣を作っているようだ。
男は腰に革ひもを結わえ、上から皆で巣穴のある崖の下へ下ろしてもらった。
ところが皆は、革ひもを手放し、男を置き去りにして村へ帰ってしまった。
男は食べる物もなく、飢え、革ひもを食べてしのいだ。

いつのまにか眠っていた男は、熊が
「さあ、私のところへ来なさい」と言っている夢を見て
目が覚めると巣穴へ入って行き、冬眠している熊のそばに横たわった。
眠ると夢の中でまた、熊が
「もしお腹がすいたら、私の小指を吸いなさい。
水が飲みたくなったら、もう一方の小指を吸いなさい」と言った。
起きた男は、お腹がすいたので眠っている熊の片足を持って吸い始め、
もう一方の片足で乾きをいやした。

春が来て、熊は男に夢の中でこう言った。
「私は明日、起きる。私が外に出たら、お前は私によじ上って
背中に乗りなさい。そして自分の村に帰ったら
三匹の犬を縛って、私のところへよこしなさい」

翌朝、熊は目を覚まし、外へ出た。
男が背中に上ると崖を登り、立ち止まった。
男は背中から下りて、自分の村へ帰り
三匹の犬を縛って、熊に送った。



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ニヴフ族の生活圏の北東アジアでは崖へ下りて行くことで
「熊の巣をあさる」物語が進みますが、
アマゾン川流域では木に登る、垂直に上がって「鳥の巣をあさる」ことで物語が成立します。
出てくる動物や結末も違うのですが、南では熊に変わって
ジャガーが超自然的な存在として登場します。というわけで、次回の絵へつながりまーす。

by natsu_miyazawa | 2014-11-29 17:45


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