2023年6月のにゃレンダー「ネコ書房」

「ネコ書房」　第六話
夢中になって本を読んでいると日向に干した布団の匂いが
むわっと近づいた。

「お気に入りの本はみつかりましたか？」

あちこち逆立つ乱れた毛並み、
薄茶色とクリームを混ぜたみたいな色に機嫌よく笑ってるみたいな目もと...
「ケータ？」

おまえ、子どもの頃うちにいたケタローじゃないか。ケタローがなぜここに？
そうだ、ケタローを膝に乗せて読んでいたのがこの本だった。
いつのこと？
ケタローもこの本も、どこへいったんだっけ？
つかケタロー、なぜエプロンにハタキ？なぜ話す？
なんなんだこの本屋。
混乱する僕を尻目に黒猫は
小さく「ニー」と鳴いた。


（続く）



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毎月1日に更新「ネコ書房」
1年間お楽しみくださいませ
（にゃレンダー3つのお話の
『ねこ書房』とは別のお話です）
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