2023年11月のにゃレンダー「ネコ書房」

「ネコ書房」　第11話

目が回る。きもちがわるい。

快適だったケータの、

本の中から乱暴に吐き出され

放り出されイラッとしたけど...

鬼の形相の店主と店員を見て

我にかえった。

咳き込む僕に

店員が

枯葉みたいな匂いがする

お茶を出してくれた。

僕は

ゆっくり話し始めた。

「ケータは

まだ子供だった僕が拾った猫です。

河川敷で見つけました。

長毛は汚れてかたまり

ところどころ

根本からごっそり千切れ

肌にはかきむしった爪の後で

血が滲んでいて...

どうやって生きてきたんだろう。

そんな状態なのに

堂々としていて、カッコよかった。

僕が抱いても大人しくして

そのまま連れて帰り

うちの猫になりました。

けれど

僕が進学で実家を離れた途端

突然姿を消しました。

それで僕はケータのこと、

忘れることにしたんです。

辛いから」

（続く）

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毎月1日に更新「ネコ書房」
1年間お楽しみくださいませ
（にゃレンダー3つのお話の
『ねこ書房』とは別のお話です）
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