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2023年 12月 01日
社員の黒猫です。 この物語も今日でおしまい、 あと少し、お付き合いくださいにゃ。 さて ネコ書房店主はニンゲンの「僕」が 子供の頃可愛がっていた KEETAの4代目子孫で この本屋を守りながら 「僕」を探していたんだ。なぜ? KEETAは 僕と、いや 僕がKEETAに話した約束を ずっと覚えていたから 覚えていますか? その様子だと すっかり忘れているんじゃない? * 「にゃーにゃーにゃー」 黒猫が盛んに僕に鳴く。まるで責めるように。 すると KEETAそっくりの店主が話し始めた。 『本の中なら永遠に生きられる』 そうKEETAに話したことを 覚えていますか? KEETAは あなたが言ったその言葉を信じて 実行したのです。 そしてその願いは叶えられました。 あの本の中にいます。 猫ではなく、本の一部として」 * 当時現実逃避した僕のお気に入り ダークファンタジー小説 その物語の中に逃げ込んだ僕は... 言ったのかも しれない。 でも もし真実だとしたら、だとしたら。 「店主さん、それが事実だとしたら あなたたちは、この本屋だって 現実には存在しないのでは。 本の中の」 「そう、本の中の。 気づきましたか?ようやく」 **** ザーーーーーーーーーーー いや、車の走る...音? 耳鳴り!!倒れる... 何をしてたっけ? あ、立ち読み...? そうだ、やることがないから 本屋街でいつものように 立ち読みしてたっけ 何?さっきまでのあれは 白昼夢ってやつ? ヤバいなあ 「大丈夫?真っ青よ」 真っ赤な帽子を被りチラシを配っていた 年配の女性が 心配して話しかけてきた。 「はい。ありがとうございます」 思いがけずしっかりとした返事に おばさんはホッとしたらしく 「若いからって無理しちゃあダメよ。 気をつけてね。じゃあね、 メリークリスマス」 そういうとまた仕事に戻った。 メリークリスマス? 本屋の店員が迷惑そうに出てきたので 僕は急いで手にしていた本を買い 電車に乗り込んだ。 スマホのカレンダーは、今日が 2023年の12月25日だと告げている。 2023年の1月の年始からずっと あの場所で立ち読みしてたったてこと? 嘘だろ?? 呆然としながら買った本の開くと 見覚えのある猫たちが メリークリスマス!と 僕に話しかけている 柔らかな本の手触り、 もわっと埃っぽい匂いが たまらなく懐かしく 鼻の奥がツンとし視界がぼやけて じんわり胸から熱いものが込み上げてきた 帰ったら、窓を開け部屋の掃除をして 久しぶりに帰省しよう ケータの写真は1枚くらいあるはず そして行かなくなった大学へまた行こう 書かなくなった物語の続きをかこう 確かに僕はケータに 言った 僕の作った物語に、お前を書くよ 本の中で お前は永遠に生きるんだ ケータは僕が書く前に本の中に行って ずっとずうっと、僕を待っている。 今も。 書かなくちゃ。 待ってて! おわり :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ご愛読ありがとうございました! (にゃレンダー3つのお話の 『ねこ書房』とは別のお話です) #natsumiyazawa #inknoiro
by natsu_miyazawa
| 2023-12-01 12:18
| にゃレンダー
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