村上さんの文庫本

村上春樹の文庫を買う。「東京奇譚集」。まだ読書中の文庫のカバーをはずし愛用してる布カバーをかけさっそくひとつだけ読む。うっとり。本当にすごい作家だ。ノーベル文学賞もきっととるだろう。
10代の終わりころ、翻訳文学好きの私がスルっとはまって、出ている本をかたっぱしから（学校へも行かず）読みふけった。よく「羊をめぐる冒険」で「僕」が飲んでたドリップコーヒーを入れ（予算の関係でレトルトの）パスタを食べながら...２万５千円の風呂なし共同玄関のアパートの廊下までコーヒーの匂いが充満して。
今でも覚えてるのはクリスマスカラーのあの本。お金がなかったから一冊だけ買って一晩で読み切り、翌日早起きして後編を求め本屋へ。平積みされた単行本はとてもきれいだった。

一番好きなのは「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」。けれどねじまきどりの戦争描写に耐えきれず...またリアルな宗教テロ事件を東京で生活している私は文章で踏襲する気持ちにはなれず。そんなこんなでしばらく遠ざかっていたのですが「神の子どもたちはみな踊る」でめでたく再会。彼の紹介したカーヴァーやカポーティも大好きだ。

複雑な感情や感覚をさらっと誰にでもわかる文章で表現できるって本当にすごい。
まだ読んでない物語も大事に読もう。

ちょっと前、あるパーティでちらっとお見かけした事がある。主催者へのお土産に持ってきてくださったチーズは素晴らしいものだった。小説も美味しそうなものが沢山出てきます。おなかすいてきた....